合浦珠還なるか。中国の北海で真珠養殖が再起動?!の記事。

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 広西チワン族自治区というのは中国の海岸沿いの最南の省です。 ベトナムの世界遺産のハロン湾があるクアンニン省に接しています。

ここ北海は、日本と同じ種類のアコヤ真珠(海水の)を養殖していることで有名でした。ちなみに中国産アコヤ真珠の養殖は1980年後半から本格化し、1992年には日本への輸出額が1000貫(3750kg)を超えています。(成山堂「美しき真珠戦争」のグラフより)

 最近の動向ですが、平成28年度の”真珠宝飾品に係る市場動向等に関する調査”の中国の項によれば「近年は生産を中止しているようである」と書かれています。


 中国は世界一の淡水真珠生産国である。2015 年の淡水真珠生産量は 1,550t と、世界の 9 割以上を 占める。
中国における淡水真珠の生産地は浙江省、江西省、安徽省、湖南省、湖北省と江蘇省に集中しており、 中でも浙江省諸曁市は中国淡水真珠の中心地として有名である。
(略)

 一方、中国は海水真珠(アコヤ真珠)の生産も始めた。主要な生産地は海南島、広東省と広西自治区 に集中しているが、近年生産を中止しているようである。 

(引用)平成 28年度製造基盤技術実態等調査事業  真珠宝飾品に係る市場動向等に関する調査  

さて、1月10日の北京週報の写真ニュース。beijingreview.com.cnの記事「广西北海“海丝”凭借力 南珠再起航」

南珠再起航!

 と。「南珠」ですが、後漢時代の地名で言う交州地方(北海・雷州半島)で採れる真珠を「南珠」と呼ぶそうです。「海丝」というのは一帯一路構想の「海のシルクロード」を指していると思うのですが、詳しい人の解説が聞きたいです。現在の北海は海のシルクロードの要所ということで関連諸国への輸出入が伸びているという記事がありました。

 北海では合浦真珠というブランドで売り出しているようで、広西チワン族自治区観光局のサイト(広西チワン族自治区観光局 北海のお土産)にはこう書かれています。(文を若干修正しました)

合浦真珠:
 合浦真珠は、「南珠」とも言う。見た目がきれいで、光沢は長年かわらなく、「東珠は西珠に及ばない、西珠は南珠に及ばない」との美称がある。
 南珠は広西沿海、雷洲半島から産出し、その内で、広西合浦の真珠は南珠中の上品である。合浦は上級真珠生産に最も良い場所、北部湾陸地に近い海域に位置し、波が小さく、水質がよく、塩水、淡水の比率が良い真珠製品発展に良い自然条件が揃う。
 合浦真珠は内外に知られ、昔「国宝」と賛され、皇帝の貢ぎものとなった。今現在、故宮博物院に陳列されている真珠は多く合浦産の物である。

この説明で言及されている真珠は天然真珠ですね。

 

https://www.google.com/maps/ 北海

北海市の位置はこのあたりです。

昔の地名、交州の合浦はここです。

交州 出典 三国志の地名を覚えよう!後漢時代の州郡県マップ

合浦といえば「合浦珠還」という中国の故事成語があります。

合浦珠還
 合浦珠還(ごうほしゅかん)とは、一度失った大事な物が再び手に戻ることのたとえだ。合浦は中国の地名である。

 出典は後漢書の循吏(じゅんり)列伝、孟嘗(もうしょう)だ。孟嘗は中国戦国時代の政治家で戦国四君の一人である。仁義をもって国を治めた。

 「嘗到官、革易前弊、求民病利、曾未踰歳、去珠復還。」合浦は昔から良い真珠が採れたが、欲張りな太守が続いたため住民が真珠を採らなくなった。孟嘗が太守になると人心が戻り、再び産出されるようになった。

 孟嘗還珠(もうしょうかんしゅ)とも言う。孟嘗は真珠貝がまた還(かえ)ると読む。(ブログbibble-babble より)

この故事について、「真珠の事典 松井佳一著」では

堕落した貪欲な役人が人民に真珠を乱獲せしめたので真珠がとれなくなったので(略)

と解説をしているのが興味深いです。「乱獲しちゃだめじゃないか」という、真珠生産寄りの視点です。

北海の真珠養殖場(出典北京週報 新华社记者张爱林 摄) 北海の真珠養殖場の貝掃除(出典 北京週報 新华社记者张爱林 摄)

 ああ、この小さな真珠貝。懐かしすぎます。ベトナムのハロン湾での真珠貝も初期はこんな感じでした。北海では人工採苗は導入してないのかなあ。合浦珠還は遠そうだなという感想です。

 

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