真珠養殖は参入しやすい事業なのか? 2 その収入や支出。

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前回のエントリー、覚田会長が養殖真珠の現状と展望語る。真珠養殖は参入しやすい事業なのか?
の補足編です。

県振興協議会 覚田会長、現状と展望語る 三重の講演の中で映したという、「新規参入について収入や支出の採算シミュレーション」が知りたいと書きました。

そのかわりに、立神地域真珠養殖復興プロジェクト養殖復興計画書(PDF)を紹介。2012年の少し古いデータですが、細かな数字がでています。

この真珠養殖復興プロジェクト計画に至った背景は?養殖復興計画書(PDF)「1 目的 」より引用。

(略)アコヤ真珠を取り巻く状況は近年大きく変わってきており、海外での南洋真珠(白蝶貝、黒蝶貝)や淡水真珠(イケ蝶貝)の生産量増加の影響を受けて日本産のアコヤ真珠の市場が縮小し、日本産アコヤ真珠の販売金額は著しく減少してきている。
このような中、平成8年に発生した感染症による日本産アコヤ貝の大量へい死が養殖経営の存続を揺るがす大きな問題となった。
(略)さらに、平成20年のリーマンショック以来、世界的な不景気に見舞われ、浜上げ真珠の販売単価の下落により真珠の生産金額は著しく減少した。
(略)平成23年3月11日の東日本大震災による津波により、海上養殖施設の流失、アコヤ貝の落下、海底堆積物が巻き上げられた事によるへい死等の大きな被害を受けた。更に同年夏期には赤潮によるアコヤ貝がへい死する多大な被害も受けており、これらの状況を克服し、養殖経営を再生させることが緊急の課題となっている。 そこで、(後略)

現在の日本の真珠養殖のリスクが網羅されていますね。この頃の真珠養殖業界は踏んだり蹴ったりでした。そこで、復興計画プロジェクトが立ち上がったわけです。

「真珠養殖は参入しやすい事業なのか?」がテーマです。 収入や支出を把握するために9ページの(5)復興に必要な経費が参考になると思いました。 

真珠養殖復興プロジェクト必要経費

表の復興計画3年目の数字が持続可能ライン。数字は13経営体とあるので、13で割って平均をとってみます。

収 入は1613万円。
 生産量(匁)6,685
 生産額(千円)15,577
 その他生産額 554
 合計生産額 16,130

経 費は1458万円

差し引き利益は155万円です。

経費の内訳に人件費が831万円含まれているのですが、但し書きに「人件費 … 経費控除後の収益より、事業内容・規模に寄り算出」とあります。経費控除後の収益より算出ということは、従事者給料は固定でみていないということですね。固定給ではすぐ赤字決算になるのでしょう。

人件費は従事者(経営者含む)2人+アルバイト1~2人、が標準だと思われます。

これでは参入は難しいと思います。

収入は品質が高くなれば額があがります。市場価値の高いサイズを生産するという方法もあります。(9ミリ以上の大珠や5ミリ以下のベビーパールなど)

 

復興計画プロジェクトが上手くいったかどうか実はわかりません。中国の需要増加により、単価が上がってきていますから一息ついたんでしょうか?

 

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