「鳥羽・志摩の海女漁業と真珠養殖業-持続的漁業を実現する里海システム」が日本農業遺産選定も、寂しい気持ちに。
以前の記事でも日本農業遺産について触れた。先日「鳥羽・志摩の海女漁業と真珠養殖業-持続的漁業を実現する里海システム」が日本農業遺産に選定されたというニュースがあった。
「「海女漁」「尾鷲ヒノキ」選定 県内から2地域 /三重 毎日新聞」
農林水産省は14日、新設の「日本農業遺産」に認定する8地域を発表した。県内から「鳥羽・志摩の海女漁業と真珠養殖業-持続的漁業を実現する里海システム」と「急峻(きゅうしゅん)な地形と日本有数の多雨が生み出す尾鷲ヒノキ林業」が選ばれた。
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鳥羽市の木田久主一市長は「ユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産登録に向けても大きな追い風になる」と喜び、尾鷲林政推進協議会会長を務める尾上寿一・紀北町長も「木材関連産業の活性化につなげたい」と力を込めた。
農水省では、この8地域から、国連食糧農業機関へ「世界農業遺産」認定を申請する3地域を決めたが、県内2地域はいずれもそこからは漏れた。
残念なことに世界農業遺産への認定申請からは漏れたらしい。 読売の記事にはこういう一節がある。
次世代に継承すべき伝統的な農法や景観などに国がお墨付きを与えることで、地域振興に役立ててもらう狙いだ。
「初の日本農業遺産に8地域…静岡わさび栽培など 読売オンライン」
つまるところ、地域振興なのだ。そして遺産という響きも、今は現役の産業でないと言われているように思う。
日本経済新聞 電子版の記事はもう少し詳しい
農林水産省が創設した「日本農業遺産」に14日、三重県から「尾鷲ヒノキ林業」と「海女漁業と真珠養殖」の2件が認定された。全国で認定された8件のうち漁業と林業分野での認定は三重県のみ。三重県の鈴木英敬知事は産品のブランド向上や次世代への技能継承につなげていく考えを強調した。<略>
鈴木知事は「海女漁も真珠養殖も、林業も厳しい経営環境や担い手確保という課題がある。行政も連携しながら、今回評価されたことを発信し、しっかり維持に取り組んでいきたい」と話した。
厳しい経営環境や担い手確保という課題がある。というのだ。そのとおりだろう。
しかし、日本農業遺産に選定されたといって売上が伸びることはない。多少、観光客が増えて地域振興に貢献したところで、該当産業自体に利益が生じるわけではない。儲からない産業に担い手は現れないと筆者は考える。
毎日新聞と読売オンラインの見出しには「真珠養殖」の語句がない。寂しい限りだ。