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「真珠の街」神戸の加工技術。真珠の加工とは。

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真珠の加工技術について語られることは少ない。日本の技術とアピールされることもない。しかし、現在の日本の真珠業界に残された強みは加工技術だと思っている。

「真珠の街」神戸 でも養殖ゼロ、珠玉の加工技術連なる

という日本経済新聞の記事。

真珠と言えば養殖だけれど、「真珠の街」神戸は加工技術が、という意味の見出し。

神戸パールミュージアムを訪ねた。展示資料に「神戸の真珠加工の草分け」として、藤堂安家の記述がある。藤堂氏はサンゴのシミ抜きに使う消毒液を何通りも実験。1920年代に真珠のシミ消し法を発見し、染色法も開発した。

この真珠のシミ消し法。基本原理はよく知られているオキシドールによる脱色で、記事の消毒液というのは過酸化水素水のこと。

「真珠の事典 松井圭一著」のP601に

これをはじめたのはわが国では大正11年頃(1922) 神戸で藤堂安家が (略) 孔明けした真珠をオキシフィルと共に硝子瓶にいれ日光に曝して温めることで漂白した。見にくい黒珠が美しい白珠となりピンク玉となることを発明した。(略)

大正13年(1924)にはほとんど無価値のシミ珠を買い集めて加工することにより同商会は莫大な利益を収めたという。

とある。技術革新の先駆者が莫大な利益を手にするというサクセスストーリーだ。

「真珠の事典」にさらに漂白の方法について詳しく書かれている。

宝来利一は真珠の漂白について次の方法を報告した。

真珠をベンゾールおよびアンモニア水で洗滌し、次の混合漂白液をアンモニア水で弱アルカリ性として、24時間浸し、30~35度温度に保ちこれを数回反覆する。

(略)

過酸化水素水による漂白は上述のように真珠の薄層間にある有機物の酸化還元によるもので温度およびpHによりその効果に相違がある。(「真珠の事典」P602)

もっと具体的な記述が続くので、興味がある人は「真珠の事典」の一読をお勧めする。

また、“宝来利一 真珠”で検索すると中国語の文献がでてくる。現在では中国でもよく知られているのだろう。

 参考 国内外珍珠漂白技术进展

 

真珠のシミ消し法が発見(考案)されてから約100年。前述のようにノウハウは本にも書かれているし、ネット上にもある。

今は「真珠の事典」に書かれていることだけではなく、新しい技術・ノウハウがでてきていると思うのだが、当然、加工会社の企業秘密になっていてわからない。

真珠養殖業者は高齢化が問題になっているが、加工技術の継承・世代交代は進んでいるだろうか?

 

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