NHK「オーストラリアの巨大真珠」と伊勢志摩の「厘珠真珠」
先日、NHKで"密着 巨大真珠はこうして生まれる"という番組が放映された。
(リンク NHK おはよう日本)
キャプションが”真珠の名産地日本 しかし今世界では・・・・”
しかし今世界では・・・・
かつて、日本は真珠の名産地だったが、今は世界中でいろいろな真珠が生産されている。オーストラリア、インドネシアのシロチョウ南洋真珠。タヒチのクロチョウ真珠。ミャンマーの白蝶真珠のGOLD等々。中国の淡水真珠も。
10年ほど前、世界では・・・・2005年の世界生産額ではシロチョウ真珠が37%を占め、クロチョウ真珠が20%、アコヤ真珠(日本と中国の合計)が20%だったという。今はアコヤ真珠は2割り切っているのかもしれない。
この店最大級の大粒の真珠。
直径2センチ近くあります。
どこで作られたかというと、オーストラリアです。
「ここには最も大きなもので直径19mmの真珠もあります。」
最高の養殖環境を整え、大粒の真珠を生み出しているのです。
(NHK 密着 巨大真珠はこうして生まれる)
NHK画面にブランド名が写ってる。Paspaley。オーストラリアの大粒真珠といえば、やはりパスパレイ(http://www.paspaley.com/)のことでした。
パスパレイパールの有名な真珠がこれだ。20mmを超える大きくて丸いピンク系の真珠である。
現在はスミソニアン博物館に展示されているとか。
A rare 20.4mm pearl, round, with a strong pink orient is found at Vansittart pearl farm off the Kimberley coast of Western Australia. Larger round pearls have been discovered but none with this combination of size, quality and beauty. This pearl is later displayed in the Smithsonian Institute alongside some of the world’s most important and high profile pearls - including La Peregrina and the Hope pearl. 引用元 http://www.australiansouthseapearls.com/
オーストラリアの真珠養殖を紹介したあと、NHKはこう続ける。
一方、真珠養殖の発祥地、三重県伊勢志摩では、生産額は年々減少し最盛期の10分の1以下です。
最盛期の10分の1以下。
あまりに、生産が減ったので海の環境が良くなって、真珠の品質が向上したという皮肉な話も聞く。
そして、復活の策は厘珠なのか!
そこで目をつけたのは、オーストラリアとは正反対の小粒の真珠。
厘珠(りんだま)と呼ばれる3ミリほどの真珠で活路を見いだそうというのです。厘玉は、伊勢志摩でも限られた職人しか作る事ができない貴重な真珠です。
とても小さな核を、1つの貝に複数入れて作るため、高度な技術が求められるからです。
(NHK 密着 巨大真珠はこうして生まれる)
伊勢志摩産 厘珠真珠を使ったアクセサリー。
この商品。伊勢志摩サミットにぶつけて以前にもNHKで放映されてた。 NHK “世界に売り込め” 真珠プロジェクト。番組の効果か1億6千万円以上売れたらしい。売上の海外比率は不明だが、世界に売り込めたのだろうか。
以前から厘珠は真珠アクセサリー用途として需要はあった。匁単価(重さによる単価)も高く、技術があれば高付加価値の真珠として、採算が取りやすいと聞く。単価が高いとは言え一つの貝に4つも5つも数ミリの核をいれるという細かな作業であるので参入は難しいと思われていた。
しかし、貝の体内に入れる核(丸く貝殻を削ったもの)が小さいため、個数が多いと言っても、貝への負担が小さいため斃死率が低い。8ミリや9ミリのアコヤ大珠を作るためには大きい母貝が必要だったが、厘珠であれば、それほど大きな母貝を必要としない等のメリットも有るはずだ。
しかし、厘玉による伊勢志摩アコヤ真珠の復活は、高品質の厘玉のことをISESHIMAと外国人が呼ぶくらいのブランドにならないと難しいかと思う。
参考リンク