愛媛、杉の葉網籠で稚貝を採取のニュース。アコヤガイかと思ったら。
「杉の葉網籠で稚貝を採取」の見出し。
これは、てっきりアコヤガイの稚貝?と思ったらヒオウギガイの稚貝でした。
◇愛南・宇和海 愛南町沖の宇和海で、杉の葉を詰めた網籠で、海中を漂うヒオウギガイの稚貝を採取する「杉葉づけ」の作業が始まった。 杉葉づけは、自然交配で孵化ふかした幼生を、海に沈めた杉の葉に付着させて採る伝統技法。元々、真珠を作り出すアコヤガイの稚貝を採る方法だったが、人工採苗(さいびょう)の導入で、2002年頃から真珠母貝の養殖業者が副業で始めるようになった。
ヒオウギ貝の刺身 (愛南町) 出典 里山里海グルメ発見伝 http://ehime-yamaumi.jp/
海中に杉の葉を浸けて、浮遊する稚貝の幼生を付着させるという方法。上記のニュースでは伝統技法と書かれてますが、1947年に始めて成功したと後述の資料には書かれています。それほど古い技術ではありません。
屋内の水槽で人工的に孵化させる人口採苗に対して、上記の方法は天然採苗と呼ばれています。真珠養殖業者の間では「人工貝」、「天然貝」と呼び分けます。
「人工採苗の導入で、2002年頃から真珠母貝の養殖業者が副業で始めるようになった」とあります。不況で養殖業者が減少したということもあるのでしょう。
杉葉に付着した、稚貝を成長に応じて、人手で籠に移し替えていく手間のかかかる作業ですが、海底に生息しているアコヤガイを拾い集めていたことを考えると画期的だったでしょう。
杉の葉よりも付着しやすく、効率の良いものが無いかと今でも工夫が凝らされているようです。
1947(昭 22)年 三重県水産試験場でアコヤガイの天然採苗に初めて成功した。1949(昭 24)年からは採苗予報と採苗指導も開始し,さらに,1951(昭 26)年から採苗器に杉の枝葉が使用されるようになって大量採苗技術が確立した。
(Ⅲ 貝 類第 1 節 あこやがい真珠養殖(母貝養殖も含む))
真珠養殖の技術がヒオウギガイに応用されているのが興味深いです。
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