
仏像真珠から高級淡水へ
アコヤ真珠のことばかり書いているので、たまには淡水真珠について。湖水真珠とも呼びます。
淡水真珠のはじまり・・・・
13世紀ごろの中国には仏像真珠が!!
カラス貝の貝殻の内側に鉛核の仏像を貼り付けて、真珠層を分泌させ、殻つき仏像真珠がつくられていたらしい。
これは18世紀のもの
養殖カラスガイの貝殻に作られた仏像真珠 【 14 】
中国 1800年代 カラスガイ 3.5×14×13.7cm
1893年のシカゴ万博に出品された作品。仏像型の鋳型を挿入し、真珠層で覆わせています。
世界初の淡水養殖真珠もおそらくこれと同じかたちで開発され、その際にもこのように仏像が挿入されたとか
ここで日本に戻りますが
1900年代ごろ
日本では、真円(まるい)真珠養殖の成功により、アコヤの真珠養殖が産業として成立したわけですが・・。
そして
1930年代
アコヤ真珠の養殖法(有核真珠)を応用し、琵琶湖によるイケチョウ貝による淡水真珠養殖の事業化に成功する。
第2次世界大戦により中断。
1940年代
日本の琵琶湖・霞ヶ浦において淡水真珠養殖が再開されます。
このとき、淡水真珠の養殖は無核真珠に路線が変更されました。
その主な理由は。
1 核を使用しないため生産コストが下がること。
2 比較的に技術が簡単であること。
3 アコヤ真珠の市場と競合しない。
ということでした。
無核ですべてが真珠層、アコヤ真珠にない色、そして比較的安価であった淡水真珠は、真珠の代替的な素材として成功。
その成功と宣伝によって欧米では淡水真珠のことをBIWAとよぶようにもなったというわけです。
BIWAとして海外で売られている真珠です。↓
そして、再び中国に話を戻します。
1970年代
この頃の中国の淡水真珠はその形状から「ライス」「ライスクリスピーズ」と呼ばれ、欧米に輸出されているものの多くは表面が縮んだ、様々なカラフルな色に染められているものだったんですね。
品質的には琵琶湖産淡水真珠と競合するものではなかった。ほんとに雑貨扱い。
しかし、1973年には中国産真珠の日本国内への輸入量は日本の生産量をうわまわりました。
1980年代
日本から専門的技術を導入し、中国で実験・研究が行われました。
従来はカラス貝を使用していました。このカラス貝で作った真珠がシワシワのライスパールです。
そこで、
日本の淡水真珠で母貝として使用していたイケチョウ貝の亜種であるヒレイケチョウ貝(三角貝)を母貝として採用。
中国の淡水真珠輸出量が世界一位となったのはこの頃です。
琵琶湖では水質汚染が懸念されはじめました、ここで主客逆転なのです。
2000年代
中国の淡水真珠年産は1200トンを超えて世界トップに。
しかし、「生産力は高いが品質はまだまだ」と言われることが多いのが事実です。
さらなる品質の向上やブランドの確立が課題となっています。
現在の中国淡水真珠業界は今後の課題として、こう考えているそうです。
1 価値を維持するために養殖する規模を制御し生産調整を行う。
2 養殖の技術を高めて、品質を向上する
3 健康的な母貝の育成に努める。 (生態環境の管理による病気予防など)
*中国沿岸部の経済発展と都市化により、水質汚染が進んでいるため、生産地が内陸部に移っていかざるを得ないと懸念されている。
4 新製品、新しいデザイン・装飾用途の拡大、美容・栄養・医薬領域へ進出。
5 原材料の輸出を減らし、加工品(製品)の輸出にシフトする。
6 基礎研究を強化して、積極的に新製品を開発する
真珠製品の更新。
モデル・チェンジ。
有核真珠の導入。
異なる形状の真珠。
大玉の開発=養殖年数を延ばして大玉の比率をあげる。
なるほど、ここ最近は、10ミリを超える有核真珠や、
アコヤの花珠に迫る品質の真珠もみかけるようになりましたね。
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