世界で一番高い価格?バレンタインプレゼントは9億2000万円だった。La Peregrina pearlの話。
世界で一番高い価格のバレンタインプレゼントは?という記事をネットでみつけました。
Famous Designer pearls jewelry gifts for St. Valentine Dayという2017年の記事です。
Do you know what was one of the most expensive and famous designer pearls jewelry gifts for St. Valentine?
答えはLa Peregrina pearlです。
La Peregrina というのはスペイン語で巡礼(放浪)女という意味です。宝石の二つ名みたいなものですね。
ある年の2月14日(おそらく1970年2月14日)。リチャード・バートンは妻のエリザベス・テーラーにLa Peregrina pearlをバレンタインプレゼントとして贈ったのです。
その真珠はバートンが1969年にオークションで買ったものです。後にカルティエによって宝石を足されエリザベス・テーラーのために新しくデザインされました。ゴテゴテしすぎじゃないかという意見もあるようですがエリザベス・テイラー仕様ですから!
ラペレグリーナ真珠デザイン画と完成品 画像カルティアアーカイブ
2011年に持ち主のエリザベス・テーラーが亡くなり、2012年にラペレグリーナ真珠がオークションにかけられた時、このネックレスは1150万ドル(当時のレートで約9億2000万円)の価格で落札されました。
9億2000万円!
この高価格がたいへん話題になりました。当時2012年にはネット上のあちこちのブログでこの話題が取り上げられています。
ラペレグリーナ真珠のアップつまり。エリザベス・テーラーへのバレンタインプレゼントが1150万ドル!9億2000万円!になったということなのでした。
(よく知られているようにバレンタインデーで女性が男性にチョコレートを送る習慣は日本と韓国くらいです。一般には男性が女性にプレゼントを贈ることが多いです。)
La Peregrina pearlというのは巡礼(放浪)の真珠という意味と書きました。
その由来。
この真珠は16世紀なかばにパナマ湾で見つかり、スペイン王室に献上されました。パナマクロチョウ貝からとれたクロチョウ真珠とのことです。ちなみにクロチョウガイの真珠から必ずしも黒い真珠ができるわけではありません。グレイも多く稀に白い真珠が採れることがあります。パナマクロチョウ貝はグレイ色が多かったようです。
1554年 スペインのフィリップ王子がメアリー1世(ブラッディ・メアリーとして有名)と結婚した際、彼女にこの真珠をプレゼントしました。
ラ・ペレグリーナ 1555年頃真珠はメアリー1世の死去によりスペイン王室に戻ります。この時にはじめてLa Peregrina(巡礼する女)という名前がつけられたと言われています。
1808年 ナポレオン・ボナパルトはスペインに侵攻し、兄ジョゼフ・ボナパルトがスペイン王(スペイン王ホセ1世)に。真珠の所有はナポレオン一族に移ります。ジョゼフ・ボナパルトは1813年ビトリアの戦いで敗北した後にマドリードから逃亡。真珠は彼と共に運び去られました。この時にLa Peregrina(放浪する女)という名前がついたという説もあります。
1880年代 イギリスに亡命していたナポレオン三世が生活費捻出のためにイギリスの貴族に売却しました。
1969年 サザビーズのオークションに掛けられます。エリザベス・テイラーの夫、リチャード・バートンが37000ドルで購入。
400年以上もの歴史ある天然真珠がたった37000ドルは安い!と思うのです。(当時は固定相場制で1ドル=360円なので1332万円。)
「真珠の世界史」には”日本の養殖真珠の席巻で天然真珠の価格が下がっている時期に買った”とあります。
席巻というよりも。
1960年台後半は、調子に乗った日本の真珠業界が生産を拡大。生産が需要を上回り、粗製乱造による品質低下を敬遠されて価格が暴落して、真珠不況と言われた時期なのです。La Peregrinaもそのとばっちり受けたのでしょうか。
参考(画像引用含む)
https://screwitimfierce.wordpress.com/tag/elizabeth-taylor/
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